わたしの意見-
水野 創
千葉県と東京都、これだけ違う女性の働いている業種
水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2015年10月8日号に掲載)
水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]
地方創生のきっかけになった消滅可能性自治体は、20~30歳代の女性人口の減少率で認定された。地方創生では、東京一極集中の是正、地方採用、就労拡大などがうたわれている。
それでは、実際のところ、女性はどんな業種で働いている人が多いのだろうか。千葉と東京につき、平成26年経済センサスで確認してみた(表1)。
千葉県で女性が多く働いている上位5業種は、①卸・小売、②医療・福祉、③宿泊・飲食、④生活関連サービス・娯楽、⑤製造業。これに職業紹介・労働者派遣が含まれる⑥サービス業(他に分類されないもの)を加えると、全体の8割に達する。また、上位4業種の女性比率は5割を超え、女性が活躍している業種だ。
東京都も上位2業種は千葉県と同様だが、3位以下は異なる。③サービス(他に分類されないもの)、④宿泊・飲食、⑤情報通信。サービス(他に分類されないもの)が3位に入っているのは、働き方の違いを窺わせる。
東京都と比べ千葉県の従業者数が少ない業種として、上記のうち①情報通信、②学術研究、専門・技術サービス、③サービス(他に分類されないもの)に加え、④金融・保険、⑤不動産、物品賃貸がある。交通インフラが充実し大学や研究施設等が多い千葉県は、自然環境も生かしたサテライトオフィスの立地で、情報通信、学術研究、専門・技術サービスで差を詰める余地は十分あると思う。
この間、全国の女性従業者のうち東京都の占める割合は14%。人口割合より確かに高く、首都圏の中でも東京都に集中している(表2)。東京一極集中は男性でも一段と顕著で、千葉、神奈川、埼玉県の「住む」魅力の重要性も確認できる。
地方創生でわれわれが目指す、観光、スポーツツーリズム、臨海・内陸工業地域、農業の6次産業化などの振興と住みやすい安心・安全・快適・便利なまちづくりといった方向性と、女性が活躍している分野をどのように結びつけ、持続性のある地域を創生していくか、示唆に富むと思う。
因みに医療を中核とする鴨川、旭市は消滅可能性自治体に入っていない。
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