わたしの意見-
水野 創

全国と地域で景況感に大きな差

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2015年12月3日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 12月に入り、2016年の見通しを聞く機会が増えた。

 期待ほど回復の勢いがつかなかった2015年に続き厳しい見方が多いが、地域別、業種別、規模別等による差も今年同様はっきりつくだろう。

 因みに、2015年の景況感を日銀短観の業況判断の変化(2015年9月と2014年12月の差)でみると、全産業では小幅改善で2014年の消費税引き上げの影響によるマイナスをほぼ取り戻しているが、業種別では、前年に個人消費関連落ち込みの影響の大きかった非製造業がプラスとなった半面、輸出数量が伸び悩んだ製造業はアベノミクス後初めてマイナスになっている(表1)。

 また、これを地域別にみると差は一段と大きくなっている(表2)。

 2016年についても以下のような多くの要素があり、その活かし方いかんで地域別、業種別の差は一段と大きくなる可能性がある。

 ①急増している外国人旅行者や国内LCC利用者の需要を取り込んでいるか。外国人旅行者にとってはアジアに近く、国際線LCC拠点を持つ関西以西が好立地。

 ②6月に延長した圏央道等充実する交通インフラを活用しているか。全国では、2015年の北陸新幹線に続き、2016年3月には北海道新幹線が開業。

 ③2020年東京オリンピック、パラリンピックに向けた準備を円滑に進められるか。特にパラリンピックの一部種目の開催が決定した幕張では多様なお客様をお迎えするためのインフラ整備が行われるだろう。また、動きだした成田空港の第3滑走路を実現に向け円滑に進められるか。

 ④地方創生を具体的な成果に結び付けられるか。「里山トロッコ列車」のような画期的な資源を地域全体で活かすことが出来るか。

 いろいろなアイデアを事業として持続可能な形に具体化するためには産官学金連携が必要である。先日ご紹介した東京・KITTEでの私どものイベントは本日終了したが、好結果をもたらすよう引き続き貢献していかなくてはならないと思っている。

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