わたしの意見-
水野 創

地域の景況に大きな差―日銀「さくらレポート」

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2016年7月8日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 日銀が「地域経済報告(さくらレポート)」で、全国9地域のうち中国と九州・沖縄の景気判断を引き下げた(7日)。

 それぞれ軽自動車関連の生産減少、熊本地震の影響だが、同報告の地域別業況判断DIの3月から6月にかけての変化を見ても、各地域が全体として悪化している中で、両地域の悪化が特に目立つ(表)。なお、先行きについて6月と9月との差で見ると、九州・沖縄の熊本地震の影響が製造業を中心に和らぐものの、中国は厳しさを増す見通しとなっている。

 この間、その他の地域は、西日本の四国、近畿と東海は非製造業を中心に現状悪化しているが、関東甲信越を含む東日本では悪化の程度は相対的に小さく、北海道新幹線の開業もあって内外からの観光が好調な北海道は唯一改善している。また、先行きについても、製造業に比べ個人消費に関係の深い非製造業が厳しい見方をしているのが目立つ。

 地域別業況判断DIでは企業規模別の分類はないが、大企業・中小企業別の業況判断DIを持つ短観の結果とも合わせて考えれば、地域別、業種別、企業規模別の景況感の差は引き続き大きい。

 千葉県が含まれる関東甲信越は、①2020年東京オリパラを含むインフラ投資、プロジェクト案件の多さ、②堅調なインバウンド需要、③地価上昇持続と都内物件高騰による周辺地域物件の人気上昇など全国比優位性を保持している。地域の特徴を生かした事業展開を目指したい。


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