わたしの意見-
水野 創

6月短観に見る変化

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2016年7月1日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 23日の英国のEU離脱国民投票から1週間経過した。各国の市場は落ち着きを取り戻しつつあるが、日本の外国為替、株式市場の割負け感は相変わらずだ(表1)。

 こうした中で日銀6月短観が発表された。EU離脱選択を挟む回答期間となったが、市場の状況を考えれば、EU離脱により今回の結果を修正してみる必要はとりあえずないと思う。

 今回注目していたのは、年初来の円高、株安や慎重な家計部門の影響の出方だったが、結果を見ると、大企業・製造業や個人消費関連の小売などへの影響が顕著だ。

 ①大企業・製造業の2016年度の想定為替レートは111円/ドルと15年3月時点の2015年度計画と同程度まで円高となり、売上高、輸出、経常利益は下方修正された(表2)。売上高経常利益率は6.4%(2015年度比▲0.8%ポイント)と13年度の水準まで低下する。なお、全規模・全産業の2016年度売上高経常利益率は2015年度比▲0.3%ポイント。

 ②個人消費関連の宿泊・飲食サービス、対個人サービス、小売の業況判断DI(現状)は、大企業、中小企業ともに前回に比べ悪化が目立つ(表3)。

 円安、株高を起点としたアベノミクスの好循環には明らかに変化がみられる。少なくとも現在の割負け感を払しょくするとともに、家計が安心できる社会保障制度の将来像をきちんと示すことが重要だと思う。

 2016年も折り返し点に来た。前半は期待外れだったが、後半の盛り返しを期待したい。


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