わたしの意見-
水野 創

構成変化が続く成田空港旅行客

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2016年12月8日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 今年は、成田空港の機能強化に向けて「成田空港4者協議会」が「確認書」を締結する画期的な年となった。機能強化の内容は、3本目の滑走路新設、B滑走路延伸、夜間飛行制限の緩和である。

 成田空港旅客者数はピークを更新中であるが、その一方で旅行客の構成にも以下の通り大きな変化がみられており、その背景(カッコ内)を考えると、機能強化は喫緊の課題である。

 ①従来最大の利用者だった国際線日本人客は減少傾向にある(羽田空港の再国際化。円安、海外リスクの増大)。

 ②今年の利用者(10月までの合計)は急増する国際線外国人客が最大となった(アジア諸国を中心とした所得増加、円安による訪日旅行客の急増。10月までの訪日客は前年比23%増加し2011万人)。

 ③国際線乗り継ぎ客は減少傾向にある(アジア諸国の国際ハブ空港の競争激化。羽田空港再国際化。なお国際航空貨物量も同様の傾向)。

 ④これらの結果、国際線合計は東日本大震災直後の落ち込みの後、既往ピークに今一歩のところまで回復している。

 ⑤国内線利用者は国際線外国人客に次ぐ増加(LCCの首都圏の受け皿。路線増加)。

 成田空港は、アクセスインフラの整備とあわせ、今後の地域発展に大きな力となる。こうした旅行客や貨物量の変化に応じて活用方法も柔軟に考えていきたい。

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