わたしの意見-
水野 創

12月短観:状況を見守る企業

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2016年12月16日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 12月14日は日銀の12月短観の発表、米国の金利引き上げが重なった。

 前者では大統領選後の円安がどう織り込まれているか、後者では今後の利上げスピードがどう示され、市場がそれにどう反応するかが焦点だった。

 結果を見ると、短観の企業マインドは幾分改善したが、2016年度事業計画見直しには至っていない。11月からの時間的制約もあろうが、事業計画を見直すには、トランプ次期大統領の政策の具体化とそれに対する市場の動向を見極める必要があるのだろう。

 一方、後者は、来年中の金利引き上げを3回と想定した。昨年の引き上げ時の4回より1回少ないが、米国経済に対する見方はこれまでより強気化し、長期金利高、ドル高、米国株式安となっている。

 今後は、こうした市場の動きを見て、トランプ次期大統領が1月20日の就任後に実際にどのくらいの減税とインフラ投資を決断するかがポイントになろう。

 この一年慎重に引き上げ時期を探ってきた金利が一挙に上昇し、ドル高が進むことは米国産業界にとっては成長下押し、株安要因になる。それを嫌えば、財政出動の幅には自ずと制約がある(日本にとっては円安、株高要因)。

 この間、米国長期金利上昇につれ日本の長期金利も上昇している。今後長期金利を0%程度に抑制しようとすれば一層の円安要因となり、原油高と重なると年明け後に物価上昇傾向が明確になろう。長期金利のコントロール可否に加え、消費への影響を心配しなくてはならない。

 材料次第で市場は荒れ、企業活動への評価は3月短観の2017年度事業計画を待つことになる。

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