わたしの意見-
水野 創

千葉の賃金は?

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2017年2月9日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 人手不足から賃金水準も上がりつつある(6日、毎月勤労統計、賃金指数(現金給与総額)、16年前年比+0.9%)。

 しかし、賃金の動向は業種、勤務形態などによる差も大きく、業種構成、パート比率などにより地域別にみても明確な差が生じている。

 首都圏でも同様である。

 すなわち、全国の賃金指数(現金給与総額)は2015年に前年並となった後、16年(都道府県別には11月まで公表)は各月とも前年比プラスを維持しているが、首都圏では、15年について同+1.4%(茨城県)から▲0.9%(千葉県、神奈川県)まで差があるほか、16年に入っての月毎のバラつきも大きい。最近は東京都、千葉県がマイナスの月が多く、増加している月の多い茨城、神奈川、埼玉県との差が目立つ。

 また、政治主導で、ここ数年大幅な引き上げが続いている最低賃金は、最高の東京都(時給932円)から茨城県(同771円)まで首都圏でも大きな差があり、その差はリーマンショック前に比べ大きく拡大している(07年度東京都は茨城県の1.1倍、16年度は1.2倍)。

 2017年は経済対策の効果や海外景気の回復などから16年に比べ景気は改善し、賃金についても上昇が予測されている。しかし、先進国、新興国ともに先行き不透明感が薄らいでいるわけでなく、経営者は賃上げについて慎重な態度を続けると思う。

 賃金差も残り、その結果、地域別、業種別、規模別の景気回復の差も続くことになろう。

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