わたしの意見-
水野 創

好調な米国経済指標と慎重な利上げ判断

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2017年2月24日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 「ひまわり定期講演会」が終了しました。1月20日の茂原会場から2月21日の千葉会場まで8会場に、多くの会員の皆様にご参加いただき心よりお礼申し上げます。

 1月20日は米国トランプ大統領の就任式の日であり、それから1ヶ月、①日米安全保障体制は磐石だが、それ以外のトランプ政治には混乱が目立ちました。そして、②米国の各種指標は、経済が好調なことを示しています。

 後者は定期講演会で利用した表に最新の数字まで入れてみると明確です。

 物価は2%台に上昇し、雇用の増加も22万人に達している。

 昨年12月の利上げ後も、市況は横ばい圏内の動きを続けており、株は最高値を更新している。大幅に変動した昨年とは様変わりだ。

 今年の最初の利上げを決定しても、違和感はなかったと思います。

 それにもかかわらず2月1日のFOMCで利上げは見送られました。大統領による為替操作批判にひとまず敬意を表したこともあろうし、大統領選以降の、ドル高、長期金利上昇を考慮すれば、現在の好調な統計がどこまで続くのか心配でもあろう。さらには、公表が遅れているトランプ大統領の目玉政策、減税、インフラ投資についてどの程度実現可能性のあるものが出て来て、市場の期待にどう影響するかも見極めたいでしょう。

 特に雇用統計は昨年も不安定な動きを示し、利上げのタイミングに影響しました。

 あと数ヶ月、好調な統計発表が継続し、利上げに確信をもてるよう期待しています。あまり遅くなると、今度は欧州の選挙結果による市場の混乱で身動きを取れなくなるリスクも生じます。

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