わたしの意見-
水野 創

3月短観:2017年度は気分良いスタート  

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2017年4月5日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 日銀の3月短観が公表された(4月3日)。

 3月時点の景況感は、製造業、非製造業、大企業、中小企業別にみて、いずれも12月調査比改善し、水準もプラスになっている。

 今回の結果は、トランプ大統領選出以降のドル高、株高基調継続により、選出直後で先行きが不透明だった12月調査に比べ、足元の景気に対する信頼感は着実に高まっていることを示している。前年が、米国の金利引き上げ後の市場の激震から大幅に悪化したのとは大きく異なる。

 こうした環境を映じ、その効果を最も享受する大企業・製造業の2017年度事業計画の売上げ、輸出は前年度を上回っている。2016年度が、昨年3月調査の前年度比マイナスから始まり、今回の調査でマイナス幅が拡大したのと異なり、今年度は、現在の環境が続けば、調査を重ねるにつれ、上方修正されていくと思う。

 一方で、今回の調査は、景況感に関する、業種別・規模別の差が残っていることも明示している。非製造業・中小企業のうち小売・対個人サービス・宿泊・飲食サービス等の存在だ。こうした回復が遅れている業種が、4月以降、「値上げの浸透・企業収益改善⇒雇用・所得環境の改善⇒消費の回復」の好循環により、他の業種に追いつき、2017年度の景気回復を一段と確実なものとするよう期待したい。

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