わたしの意見-
水野 創

なぜ「働き方改革」に取り組むか:成功事例を聞く  

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2017年11月29日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 先週末、「ちばの魅力ある職場づくり公労使会議」などが主催した「ちば「働き方改革」公労使シンポジウム」にパネリストの一人として参加した(11月24日)。

 今回は基調講演、事例発表、パネルにより数多くの事例が紹介され、それを通じて「働き方改革」の目的が明確に浮かび上がってきたのが特徴だと思う。

 事例1:家族に病人がいて、休日、業務時間外は家事、看護が必須。定時に帰宅できるよう仕事に優先順位をつけ計画的、効率的に行うよう進め方を見直した。

 事例2:ほとんど家で食事をとらず猛烈に働き成果も上げたが、50代で死亡してしまった。

 事例3:退職が続き人手不足で廃業するしかないかとあきらめかけたが、個々の事情に応じて柔軟な対応策を取り入れたところ逆に採用が進み事業拡大につながっている。

 事例4:先代が立ち上げた事業が不振で、技術者の退職も続き、取引先金融機関から「事業の整理を考えては」と言われたが、事業承継を機に労使が協力して抜本的な改革を実施したところ、残業削減、休暇取得増加、離職率低下を実現し、業績も改善した。

 共通するのは、人・家族の生存・幸福、企業の存続・発展が「働き方改革」と直結していることだ。事例では(2を除き)ぎりぎりの局面で逆境を克服し、昇進、業績向上に結びつけている。各事例で改革推進の決め手の一つとして、企業規模によらず「トップによる社員個人面談」を挙げていたのも印象に残る。

 席上私が紹介したアンケート結果では「余裕がないため取り組んでいない」が約3割を占めたが、そうした先こそ「存亡の危機に陥る」前に改革に着手することを期待したい。


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