わたしの意見-
水野 創

2017年経済の特徴を良くも悪くも反映。一段と改善した12月短観  

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2017年12月21日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 12月日銀短観が発表された(15日)。

 ①業況判断DIは「10年ぶりの高水準」と評価された前回から、企業規模、製造業・非製造業の別を問わず一段と改善している。

 ②国内景気回復の起点となっている大企業・製造業の2017年度事業計画は年初(3月調査)に比べ各項目とも大幅に改善している。

 ③こうした中で、中小企業・非製造業の業況判断DIの内訳を業種別に見ると、好調な建設に対し、個人消費関連の小売等は引き続きマイナス、マイナス幅は前回に比べても悪化している。

 2017年経済は、世界経済の回復と為替の安定、トランプ効果継続による米国発株高、そして国内では企業業績の顕著な回復の一方、個人消費の回復の遅れなどにより特徴付けられるが、今回の結果はこうした特徴を素直に反映している。

 このうち、中小企業・小売の業況判断の悪さの原因として、特に、①仕入価格の上昇と②減益(売上高経常利益率の悪化)が指摘できる。

 その解消には値上げの浸透が不可欠だが、このところの寒気到来による季節商品の持ち直し、今冬賞与の増加といった環境改善のほか、値下げ競争の止まない日用・汎用品以外の品揃えの充実、インバウンド・資産効果の取り込み等への取り組みが期待される。

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