わたしの意見-
水野 創

「働き方改革」の多様さ・複雑さに戸惑わないために

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2018年3月2日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 昨日(3月1日)は、「働き方改革」に関連した2つの討論会・シンポジウムに参加した。午前中に「働き方改革・賃金動向に関する討論会」(本日の千葉日報に記事が掲載されている)、午後が「働き方改革シンポジウム2018」(弊社主催)である。

 参加して改めて感じたのは「働き方改革」の対象の幅広さと複雑さである。

 すなわち、「働き方改革」の内容は、非正規雇用の処遇改善や賃金引上げ、労働生産性向上、長時間労働の是正など9項目と多岐にわたっており、そのうち時間外労働の上限規制などは法律で規定されることなる(今通常国会で審議予定)。この間、「働き方改革」のねらいも、従業員満足度・モチベーションの向上、生産性の向上、人材不足への対応など複数あり、これが内容や法規制と複雑に絡みあうことになる。

 このため、「働き方改革」に取り組もうとしても、例えば、経営者からは「時間外労働の罰則を伴う厳しい制約や3%賃上げ、最低賃金の継続的な引上げなどを押し付けられては、中小企業の経営は持続できない」、「営業担当はお客様次第で夜でも休日でも対応しなくてはならない」とか、働く側からは「定例給与が低く時間外手当を含め生活費に充てている。時間外が減るのは困る」といった声がよく聞かれる。

 こうした双方の負担感や不満と、日本経済が直面する人口減少・働き手不足や過労死・過労自殺の発生など企業や個人の存続を困難にする状況に対し、個別の企業の実情や経営者・働き手の置かれた状況に即して答えを探っていくのが、それぞれにとっての「働き方改革」だと思う。

 経営者が働く側とのコミュニケーションをよくとり実情を把握し、目的を共有にしたうえで、それに適した対応に取り組むことが成功のカギになる。複数の複雑な問題を一括して取り扱っても、経営者、働き手双方の意識も揃わず、中途半端な結果に終わる可能性が強いと思う。

 「働き方改革シンポジウム2018」3月7日(水)東京会場 <申込み受付中043-351-7430詳細はHP掲載>

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