わたしの意見-
水野 創

景気回復のピーク時期が早まる

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2018年4月12日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 先週の日銀3月短観に続き(2日)、今週は日経センター「ESPフォーキャスト調査」(4月調査、10日発表)が発表された。

 短観の業況判断DIが企業経営者の景況感を示すのに対し、毎月行われる「ESPフォーキャスト調査」の成長率見通しは、エコノミストの景況感を示す即時性の高い指標だ。

 4月調査の結果は横ばい圏内ながら頭打ち傾向を強めた。円高や保護主義の動きへの警戒感が広がっていることが主な背景だ。3月短観で業況判断DI低下のうち原材料・製品市況、外国為替動向に敏感な素材関連業種の低下要因の一層の強まりを感じさせる。

 最近の円高や保護主義の動きが、米国の中間選挙をにらんだトランプ大統領の個性を発揮した動きによるものと考えると、この傾向は少なくとも中間選挙結果に目途がつくまで変わらないと思う。

 それまでの間、「敵役」を作り攻撃し、うまくいかないことがあれば「反対勢力」のせいにすることが隙間なく繰り返されるのだろう。

 日本の景気は、オリパラ準備のピークや海外景気回復の重なる2018年は好調に推移した後、2019年夏か秋以降、消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動もあって反転すると予想されているが、今の状態では、ピーク時期が早まったり、ピークまでの伸び代が小さくなったりする可能性が強まると思う。

 その可能性は、国内政治の混乱で、成長戦略が停滞すれば一段と強まる。

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