わたしの意見-
水野 創
荒れた市場の影響は一部業種―3月短観
水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2018年4月4日号に掲載)
水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]
日銀の3月短観が公表された(2日)。1~3月の荒れた市場などの影響を心配したが、業況判断DIは小幅低下にとどまった。
新年度入り後も続く政治、市場の動揺で、2017年度実績を踏まえた次回6月調査に向け、今回の水準、基調を維持できるかが次のポイントになる。
そうした目で、今回結果をみると、以下の点が目立つ。
①業況判断DIは、規模別、業種別にばらつきがみられること。今回悪化しているのは大企業。中小企業は横ばい。
②大企業で悪化している業種は鉄鋼、化学など素材業種と非製造業の建設、宿泊・飲食サービス、運輸・郵便など。生産用機械、自動車、窯業・土石製品、不動産などは引き続き改善している。
③鉄鋼、化学、運輸・郵便は中小企業でも悪化している。一方、建設は中小企業では改善。中小企業の小売はマイナスが続いているもののマイナス幅は縮小している。
以上の通り、現時点では、悪化は、原材料・製品市況、外国為替動向に敏感な素材関連や人手不足が深刻な建設、宿泊・飲食サービス、運輸・郵便などにとどまっている。
この間、世界景気の回復や国内の雇用・所得環境の改善は、機械関連や小売の動きで確認できる。
エコノミストの景気見通し調査である日経センター「ESPフォーキャスト調査」の成長率見通しもここに来て頭打ち傾向になっているが、横ばい圏内の動きで、今回の結果と整合的だと思う。
今後、仮に影響範囲が広がれば、米国では金利引き上げペースの見直し、日本では2019年10月の消費税率引き上げの再延期といった期待が高まると思う。
●当ウェブサイトに記載されているあらゆる内容の著作権は、株式会社ちばぎん総合研究所及び情報提供者に帰属し、いかなる目的であれ無断での複製、転載、転送、改編、修正、追加など一切の行為を禁じます。