わたしの意見-
水野 創

緩和継続、円安、株高シナリオへの復帰

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2018年5月11日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 

 各国指導者による政治ショーが続いている。人間性の本質は変わらず、選挙、制裁解除、指導力回復、合従連衡など様々な思惑があろうが、それぞれにとって、当面華々しいショーで共演するメリットがあることは間違いない。

 こうした政治動向は、「民主主義」、「人権」、「法の支配」など価値観の共有や世界経済の成長にとって中長期的な阻害要因となる可能性が強いが、足元の株式市場には好材料に働いている。

 この間、外国為替市場は円安方向に動いているが、これは政治要因より金融政策要因だと思う。

 すなわち、まず、日本では、日銀が4月末の展望レポートで、消費者物価上昇率を下方修正するとともに目標達成時期の明示をやめた。目標達成時期を外しても今の2%達成目標を変えないなら、今回の展望レポートだと2018年度は今の政策が続くことになる。そして2019年度中に予想される現在の景気回復のピーク越え後、景気後退期に緩和政策を変更することの難しさや他見通しとの差を考えると、その後も一定期間現在の政策が続く可能性が高いと思う。

 これに対し、米国景気が順調に回復を続け、株価下落への配慮も不要になってきたため、FRBも予定通り、あるいは予定を上回る回数で利上げを行う見通しが強まっている。

 こうした動きは、年初の見通しそのものであるが、その後の株式市場の変調で違った動きになっていた。

 為替相場の円安方向への動きは、米国株式市場の上昇と相まって、日本株の上昇、日本経済の安心材料にもなる。

 ただし、投資資金は政策の微妙な変化を材料に市場に参入してくる。動揺への心構えはおこたれない。

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