わたしの意見-
水野 創

「笛吹けど踊らず」だけではない

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2018年10月26日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 

 市場が動揺を続けている。

 当初は、トランプ大統領のこれまでの大騒ぎのツケが、IMF世界経済見通しの下方修正、中国の成長率の低下(7~9月実質成長率前年同期比6.5%)、生産拠点の中国からの移転報道などの形で中間選挙を待たずに目に見えるようになり(日本の場合は首相の来年10月の消費税率引き上げ実施方針発表もあった)、市場も敏感に反応しているとの捉え方をしたが、ここに来て、トランプ大統領以外の動き、すなわちサウジアラビア人記者殺害事件の影響が加わってしまった。

 トランプ大統領は、新たな個人減税、ロシアとの中距離核戦力全廃条約の破棄、中米3か国への援助停止・削減方針表明、反トランスジェンダー政策検討などを相次いで打ち出したが、市場は反応していない。

 多数を相手にする市場相手の場合はトランプ大統領の個性の発揮だけではそもそもうまくいかないと考えられるうえ、今回はサウジアラビア要因もあるので、いつまで、また、どの程度低下して反転するか、難しさを増している。

 サウジアラビアは国際世論を見ながら説明を二転三転させているので、比較的短期間に収束に向かう可能性も残されているが、トランプ大統領がこれらを理解せず、中間選挙を控えてさらに大暴れすることになると、影響は一段と大きくなるかもしれない。

 日本にとっても、いつ矢が飛んでこないとも限らない情勢だと思う。


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