わたしの意見-
水野 創

猶予を得た日銀への期待

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2019年9月20日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 台風15号上陸から2度目の週末を迎えようとしていますが、県内では停電やその影響が解消しない地域が残り、被害の全体像の把握もできない状況です。

 被害にあわれた皆様には改めて心よりお見舞い申し上げます。

 日米の中央銀行が金融政策を決定する会議を開き、FRBは0.25%の追加利下げ(18日)、日銀は現状維持を決定した(19日)。

 決定後の記者会見で、パウエル議長は利下げ継続を示唆し、黒田総裁は必要があれば「躊躇なく」追加緩和を行うと応じた。

 日本の場合、次の追加緩和時には、金融機関経営等に対する副作用対策も併せて示すことが求められるが、FRBの利下げ幅が0.25%で市場も冷静に受け止めたため、今回は、次回以降の可能性を表明するだけで済んだ。残り少ない追加緩和を温存し、副作用対策を練るための時間的猶予も得てさぞホッとしていると思う。

 実際、9日に公表された日本の実質GDP4~6月期2次速報値は、輸出の減速が続く中、企業の設備投資が慎重化し、家計も消費性向の低下傾向が続いて財布のひもの固さを示している。

 今後、国内では消費税率引き上げの影響、オリパラ関連投資の一巡などが加わり、海外ではトランプ大統領が大統領選挙に向けたパフォーマンス、市場の動揺、中国経済の減速などFRBへの追加利下げ圧力は強まるばかりだと思う。

 猶予を得た日銀には、経済の一段の減速、円の急伸時等に備え、追加緩和と副作用対策の適切な組み合わせの創出を期待したい。

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