わたしの意見-
水野 創

コロナ禍を経た個人消費の優先順位

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2020年7月14日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

 日銀の「生活意識に関するアンケート調査」が発表された(7日)。関心は今後の消費についての考え方だ。

 アンケートでは現在と1年前との支出の比較、今後1年間の支出計画を聞いているが、増加から減少の割合を引いた支出DIはいずれも消費態度の厳しさを示している(図表1)。

 そして、今後1年間の支出を考えるにあたって特に重視することでは、「収入の増減」、「貯蓄や株式、不動産など保有資産の増減」、「ローン返済の進捗状況」などお金に関する項目の割合が増え、「余暇・休暇の増減」や「興味のある商品・サービスの有無」など生活の質に関する項目の割合が減っている(図表2-a)。

 今後1年間、商品やサービスを選ぶ際に特に重視することでは、「価格の安さ」や「長く使える」が減って「安全性」、「信頼性」の高さが求められている。4項目間の順位も一部入れ替わっている(図表2-b)。

 この間、同日公表された5月の家計調査では「10万円」の振り込みが始まった一方、緊急事態宣言継続の影響で支出は抑えられ資金は手元に残っている勘定だ(図表3)。

 多くの商店、通販、ネットショップなどが虎視眈々と狙っているが、こうした消費者の意識の変化をうまくとらえた先が、財布のひもを緩ませることができるだろう。

 現在、極めて低い水準の消費性向がどこまで戻るかも合わせ興味深い。

 

 

 

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