わたしの意見-
水野 創

緊急事態宣言解除で平常に近づいたが 6月中の人口動態

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2020年8月11日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

 千葉県の人口は、6月中、前月比221人減少と前年(同108人減少)並みの小幅減少だった(7月30日発表、図1)。5月に、緊急事態宣言下で例年の増加とは異なる減少となっただけに、宣言解除により一定の回復が示され「ひとまず」ホッとした。

 「ひとまず」としたのは、①日本人は増加したものの、外国人の減少が続いていることと、②昨年の台風被害を受けた自治体の一部で影響が続いているためである。

 すなわち、例年、年度末前後の3~5月が引っ越しのピークだ。今年はそれが6月まで延びたと考え3~6月の合計でみると、日本人が昨年を上回る転入超過となり県全体の増加を支えているが、外国人は昨年に比べ大幅な減少となっている(図2)。

 また、6月の市町村別の人口増減で減少幅の大きい1位、2位を市原市、佐倉市が占めているが、両市は昨年の台風被害が大きく当時からその影響が懸念されていた自治体である。コロナ禍による復旧の遅れが厳しい結果につながっている可能性がある。

 首都圏1都3県を見ると3~6月合計では同様の傾向だ。ただ、埼玉県、神奈川県が日本人、外国人の内訳を公表していない制約はあるが、首都圏への人口集中が続く中、千葉県はやや割り負けているようにも見える。

 「安心、安全、快適、便利」や「リモートワーク」等の環境充実により、首都圏の中で選ばれる場所となることを目指す必要性がこれまで以上に高まっているのだろう。県内の多くの市町村も同様の問題意識で取り組み始めており、今後、自治体間の切磋琢磨がより良い結果につながることも期待したい。

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