IMF世界経済見通し─「戦争の影が差す世界経済」
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2026年4月15日号に掲載)
前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]
昨夜、IMF(国際通貨基金)の世界経済見通しが公表された。副題は「戦争の影が差す世界経済」(Global Economy in the Shadow of War)。1年前のトランプ関税を何とか乗り越えたように見えた世界経済が、新たな障害に直面しているとする。
IMFでは標準予測を公表するのが通常だが、今回はイラン紛争が極めて不透明なことから、紛争状況や原油価格の前提に応じて、「紛争前予測」、「参照予測」(通常の標準予測に該当)、「悪化シナリオ」、「深刻シナリオ」の4つを示した(表)。
「参照予測」では、イラン紛争が年央には収束するとし、原油価格は26年平均で2割程度の上昇(80ドル程度)にとどまるとの前提。紛争がない場合に比べ26年の経済成長の下振れ、インフレの上振れは大きなものとはならず、成長率は過去平均(3%台半ば)に比べやや低めながら3%台前半と安定の範囲内。
「悪化シナリオ」では、紛争が収束するのは来年入り後で、原油価格は26年平均が8割の上昇となったあと27年に下落するとの前提。「深刻シナリオ」では、紛争が来年まで長引き、原油価格は来年まで2倍の状態が続くとの前提。こうした前提に応じて経済下振れ・物価上振れとなるが、とくに「深刻シナリオ」では、26~27年の成長率が2%程度まで低下、インフレ率は6%程度まで加速するとの見通し。
IMFでは、政策の優先課題として、物価と金融システムの安定性の維持、財政の持続可能性の確保、構造改革の早急な実施を挙げる。
金融政策については、物価安定という使命に沿って、インフレ期待を安定化させるよう果断に行動することを求める。
財政政策については、無駄の多い支出を回避すべきとする。特に、エネルギー価格の上限設定について、国民の人気は高いが、財政負担を拡大させることや、エネルギー需要の逼迫に繋がりやすいことから、やめるべきとする。
まずはイラン紛争が早期に収束することを期待したい。しかし、仮に深刻化・長期化するような場合には、日本でも、国民に節約を求めることを含め、経済や物価の大きな変動・混乱に繋がらないよう、規律ある経済政策運営が不可欠となろう。
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