Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

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IMFの7月世界経済見通し─中東戦争とAIが綱引き

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2026年7月9日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 昨夜、IMF(国際通貨基金)の世界経済見通しが公表された。副題は「戦争とテクノロジーの狭間で揺れる世界経済」(Global Economy in Crosscurrents of War and Technology)。世界経済は中東情勢が下押しに働く一方、AIブームが押し上げているという判断だ。

 IMFの経済見通しは4月に若干下振れたあと、7月は殆ど変化がなかった。26年は若干下振れたが、中東情勢の収束時期が4月に前提とした年央頃から後ずれしているため。一方、27年はその反動から若干上振れ。世界の経済成長は、25年の3.5%から26年には3.0%と減速するが底堅さを維持し、27年は中東情勢が収束することを受け3.4%と再び伸びを高める見通し(下表)。

 韓国やタイといった中東原油の価格高・供給制約の影響を強く受けているアジアの幾つかの国においても、想定以上の世界AIブームの恩恵を受け、成長見通しは上振れ。一方、中東地域では、紛争が長引いていることの影響から、26年の成長見通しが4月に続き7月もはっきり下振れ。それ以外の地域では、中東情勢とAIブームの影響の濃淡などによって成長に振れがみられ、米国や日本はさほど変わらない一方、ユーロ圏は4月に続き幾分下振れた。

 経済のリスクについてIMFは、4月時点ほどではないとは言え、下振れ方向に注意が必要とする。下方の主なリスクは、中東での戦闘の再燃。AIについては、市場における過度な収益期待の修正が下振れリスクの一方、世界的な普及が速まれば上振れ要因と双方を指摘。

 政策の優先課題として、独立性を確保した中央銀行による物価安定の実現、エネルギー安全保障(調達多様化・省エネなど)の確立、AIの浸透に向けた準備体制の整備、などを挙げる。

 財政政策については、価格シグナルを維持する一時的かつ的を絞った支援といった政策に限定し、財政の持続可能性を堅持する必要があると主張。日本が実施しているようなエネルギー消費の節約を阻害する補助金には否定的だ。

 今回のIMF見通しは、世界経済が日本経済の足を引っ張るリスクは低下していることを示唆。日本として成長を頑強にするためには、AIの活用、エネルギー調達の多様化や省エネ、物価安定や財政持続性を十分に意識した適切な経済政策運営などが重要であることも示すものだ。

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