春闘:賃上げは3年連続で5%台
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2026年3月25日号に掲載)
前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]
連合が3/23日に公表した今春闘における賃上げ回答の第1回集計をみると、賃上げ率は定昇を含むベースで5.26%と昨年同時点の5.46%を0.2%程度下回ったが、3年連続の5%台(図表1)。このうち組合員299人以下の中小企業の賃上げは5.05%と昨年同時点の5.09%とほぼ同じ。
賃上げ率を企業規模別にもう少し詳しくみると(図表2)、組合員300人以上の企業が5.27%、100~299人が5.18%、99人以下が4.56%と、規模が小さくなるにつれて低くなる。ただ、昨年同時点との比較では、300人以上、100~299人がやや下回る一方、99人以下の企業はやや上回っている。
こうした結果は、大企業に比べ出遅れ感のあった中小企業も着実にキャッチアップしつつあることを示唆。大企業では一部業種においてトランプ関税の影響などが押下げに作用した一方、中小企業では全体として人手不足の深刻化や物価上昇の定着が押上げに作用した可能性が考えられる。
賃上げのうち定昇等を除くベースアップは87%の組合で集計されているが、全体が3.85%、中小企業は3.54%と、昨年同時点(3.84%、3.62%)とほぼ同じ。99人以下の企業も3.15%(昨年3.02%)と昨年に続き3%台。
昨年の例に基づくと連合による集計結果は最終にかけて小幅の下振れとなる可能性はあるが、全体でも中小でも5%前後で決着する可能性が高い。
こうした賃上げが日本全体の中小企業にも拡がるかは、今後の中東情勢の展開による面も大きいだろう。企業収益の圧迫懸念が強く意識されれば、中小企業の賃上げ姿勢が弱まるリスクがある一方、物価高に苦しむ従業員への配慮からむしろ賃上げが高めとなる可能性もある。
俯瞰的にいえば、構造的な人手不足や物価観の変化を反映して、相応の賃上げが当たり前の世界、企業の成長にとって必要条件となってきている。企業にとっては、今後も賃上げせざるを得ないが、それでも十分な人材が確保できない。より大事なのは、DXやWXにより労働生産性を一層向上させることだと考えられる。
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