Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

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消費関連企業の価格設定行動の変化─日銀レポート

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2026年5月26日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 日銀は先般、本店および全国の支店・事務所から集めた情報をもとに、地域経済報告(「さくらレポート」)の別冊シリーズ「地域の消費関連企業の価格設定行動の変化と2026年度の価格設定方針」を公表。興味深い内容なので、以下その概要を紹介する。

(レポートの概要)

  • 長年続いた賃金・物価が上がりにくいことを前提とした慣行や考え方はここ数年で変化し、地域の消費関連企業の価格設定行動も積極化。最近は、消費者の節約志向やメリハリ消費に対応する様々な工夫を凝らしつつ、原材料費や人件費等の上昇分を販売価格に転嫁する価格改定の動きが着実に広がっている。
  •  この背景は主に6つ。①高い賃上げ率、②家計における購入価格が上昇するとの見方、③大企業による先行値上げの地域企業への波及、④一部では競合企業の減少等による価格競争の緩和、⑤納入先の低価格より安定調達を重視する姿勢への変化、⑥政府による価格転嫁実現に向けた取組み。
  •  値上げ実現の具体的な戦略も主に6つ。①価値向上を伴う高価格化、②高級業態の出店による価格帯の引上げ、③需要などに応じた強弱をつけた価格設定、④付随サービスや新たな料金体系の導入、⑤サービスの有償化や簡素化、⑥AI・DXを活用した価格の最適化。
  •  26年度の価格改定方針については、大半の企業が、主に人件費高を背景に値上げを計画。食料品などには落ち着きの動きがみられるが、中東情勢の影響による各種コストの上昇に直面する企業では、値上げ幅の拡大を検討。値上げタイミングは夏場以降で、中東情勢や競合他社の出方を見極めながらとしている。
  •  なお、従来あまり見られなかった動きとして、生活関連サービス業などにおいて、原油価格の変動を販売価格に反映させるためサーチャージ制の導入が必要との声も聞かれる。

 日銀は別途、「展望レポート」でデータに基づく定量的な検討を行い、輸入物価上昇の国内物価への波及(パススルー)が従来に比べ高まっているとの分析結果も示している。

 これらのレポートを合わせ読むと、日銀が今回の中東情勢を契機として、物価上昇への警戒感をより高めていることが窺われる。

 「さくらレポート」別冊は幅広い地域・業種の具体例も多く掲載している。会員企業の皆さんにも参考になる事例が少なくないと考えられるので、ご関心あればご一読いただきたい。

 

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