Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

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来年のビジネス環境はどうなるか─「アイの時代」へ

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2025年12月26日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 今年も残り数日。ビジネス環境は、前半と後半で大きく変動した年であった。4月に米トランプ大統領が打ち出した衝撃的な相互関税によって経済の不透明感が高まった。後半には、トランプが現実的対応に修正するもとで、AIブームもあって世界経済は底堅いことが判明。日本では、秋に女性初として就任した高市総理が「強い経済」を目指す方針を示し、成長期待が高まった。

 このため市場は大きく変動したが、日本の株価は夏に最高値を更新したあとも上昇を続けた。世界的AIブームの影響もあるが、日本における物価・賃金上昇の定着といった「デフレからの脱却」の影響も大きかった。ただし、値上げや人材確保、DX対応の成否などによって企業の明暗もはっきりする年でもあった。個人に関しても、株高と食品高が明確化したため、資産保有や所得水準によって豊かさのバラツキが拡大した。

 来年のビジネス環境はどうなるか。マクロの基本シナリオは、世界経済がまずまず成長し、日本および千葉の経済は設備投資・個人消費中心に緩やかな成長を続けるというもの。千葉では成田「第2の開港」に関連する前向きの動きが活発化しそうだ。

 同時に、経営を取り巻く環境には不確実性が漂う。海外面では、秋に中間選挙を迎えるトランプ政権の運営に目が離せない。世界分断は続きそうで、対日政策を含め中国の内外政策も読みづらい。AI需要は基本根強いとみられるが、その時々の思惑で株価全体に大きな影響を及ぼし得る。

 国内面では、経済政策次第で一段の円安や物価高、長期金利上昇に繋がるリスクがある。また、今年は大都市圏での不動産を含めた資産価格の上昇スピードが速かっただけに、AIブームの展開とともに、将来の反落に繋がる資産価格の過熱状態が進まないか、注意しておきたい。

 企業にとっては、持続的な人手不足や物価・賃金・金利の上昇、AIに代表される急速な技術進歩といった、底流の大きな変化への対応が最大の課題となろう。その際、新技術の積極的な採り入れと社員全員の能力の底上げが大事なポイントだ。

 キーワードとして、「完璧より前進」(変化に対応するため不完全でも試行)、「不易流行」(経営理念という不変の軸を持ちつつ変化に対応)、「アイの時代」の3つを挙げたい。3つ目は、「AI」活用が不可欠だからこそ、国民・社員が変化に対応していけるよう「愛」(共感)を持ちながら支援する必要がある、という趣旨での造語だ。

 最後に宣伝。新年1月1日15時より、千葉テレビで正月特番「わが街の未来予想図~夢を育むちばの暮らし~」が放映されます。市川市と君津市の魅力などがテーマで、私もコメンテーターとして登場します。お時間ありましたら、是非ご覧ください。良いお年をお迎えください。

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