Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

日銀会合:0.5%への利上げを決定

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2025年1月24日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 日銀は本日(1/24日)の金融政策決定会合において、四半期毎に経済・物価見通しを示す展望レポートを公表すると同時に、短期政策金利の誘導目標を0.25%程度から0.5%程度へと引き上げることを決定。前回の利上げ(昨年7月)からは半年が経過。

 今回の利上げは、緩やかな景気回復のもとで物価上昇率が2%定着に向けた歩みを着実に進めていると判断したため。日銀は経済・物価が見通しに沿って推移すれば金利を徐々に調整する方針を示していたが、今回公表された見通し(下表)は前回(10月)と概ね同様で、物価は円安進行や米価格上昇の影響から幾分上振れ。

 日銀が注目していたのは、今春闘の行方と米国経済の動向。春闘については、新年入り後に主要企業の経営者が賃上げに積極姿勢を示し、1月の日銀支店長会議において地方企業も賃上げに前向きであることが確認され、昨年並みの賃上げ率(5%程度)が見込めると判断した模様。

 米国経済に関しては、12月の雇用統計が市場予想を上回るなど堅調に推移し、トランプ政権の政策も今のところ懸念されていた諸外国への一律関税は明言されず金融資本市場も落ち着いていることなどから、見通しを下振れさせる必要はないと判断したと考えられる。

 加えて新年入り後に一時、円安が1ドル159円近くまで進み、日銀が1月の利上げを見送った場合に160円を超えて円安がさらに加速するリスクを考慮した面もあったと推察される。

 短期政策金利0.5%は過去30年のピークと同じ水準(17年ぶり水準)となり、今後の企業借入などへの影響には注意が必要。しかし、購入する設備・土地や商品などの価格上昇が続いているため、過去のデフレ期と比べれば同じ0.5%でも実質的な金利負担は小さくなると考えられる。

 今後の利上げについては、あくまで経済物価の展開次第だが、基本的には過去1年と同様、おおよそ半年に1回程度のペースで実施されるとのイメージを持っておけばよいだろう。

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