Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

同友会「千葉県の2050年の将来像」

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2025年2月7日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 千葉県経済同友会は昨日、「千葉県の2050年の将来像」を公表し、熊谷知事に報告書を手交。同友会50周年事業として、2050年の目指すべき姿とその実現に向けた取り組みを検討したもの。

 本報告書では、まず2050年における千葉県の姿を規定する諸要因を人・技術・環境面から整理し、5つのキーワードを示した。その概略は次のとおり。

  • 人口は働き手を中心に1割程度減少し、1万人以下の小規模自治体もほぼ倍増。
  • AIなど技術の加速度的進歩によって、人口減による負の影響を和らげることは可能であり、フィールドは空・海さらには宇宙・仮想空間にまで拡がりうる。
  • カーボンニュートラルや食料自給は大きな課題だが、その実現に向けて豊かな自然環境を含めポテンシャルはある。
  • キーワードは、①人生100年時代、②人と技術の共生、③やすらぎ、④フィールドの広がり、⑤気候変動・食料自給と整理。

 これらを踏まえ、目指すべき姿を「アイディアの花が咲きほこり人・企業を惹きつける千葉へ」とした。人口増が続いてきた東京圏でも人口減に向かう中で人・企業を惹きつけることが大事となり、不十分であった「多様なアイディアやイノベーションが花開く」環境整備が鍵との考えに基づく。その際、発展に向けては、空き家や耕作放棄地など諸課題の解決も不可欠。千葉県は都市・地方部が併存する日本の縮図であるため、課題解決の先進モデル県を目指すべきともする。

 分野別の方向性を、①人生100年時代を楽しめるまちづくり、②技術革新と構造転換で産業の未来を開拓、③千葉の強みを活かしたGXモデルの実現、④持続可能で活力を生む交通インフラの構築、⑤災害や疫病などから人やまちを守るとし、5地域別の方向性も掲げる。

 また、2050年に向けて成長が期待される分野や産業を、①ヘルスケア、②情報処理・通信関連、③脱炭素・再生可能エネルギー、④高度化した農林水産業と食料品、⑤高付加価値の体験を提供する観光、⑥新しい技術を用いたモビリティ、⑦空・海・宇宙の玄関機能関連、などとした。

 なお、今回実施したアンケートでは、2050年は「明るい」との回答が、同友会メンバーで74%(「暗い」14%)に対し、県民では29%(同37%)にとどまるとの結果。企業家が前向きであることは心強い一方、住民が明るい未来をイメージできていないことは大きな課題。

 千葉県においても働き手が減少に転じていく中で、これまでと同様の発展を実現させ、住民が明るいイメージを持てるようにするためには、官民ともに覚悟を持って取り組むことが必要。皆さんにも是非読んでいただきたい報告書だ。

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