Business Letter
「点描」
社長 前田栄治
金利上昇に関する企業アンケート
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2025年2月26日号に掲載)
前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]
日銀は1月、短期金利を0.25%程度から0.5%程度へと引上げ。その後、政策委員から将来の利上げに関する発言が相次いだことなどから、最終的な政策金利水準の市場予測が切り上がり、10年物国債金利が1.4%前後となるなど中長期金利も上昇している。
そうした中、2月17日に東京商工リサーチが「金融政策に関するアンケート」調査を公表。日銀による1月の利上げを受け、中小企業を中心に実施したもので、昨年10月に続く調査だ。
質問項目のうち、今後の借入金利上昇への対応についての結果をみると(表1)、「受け入れる」と回答した企業は、上昇幅が0.1%では84%、0.3%は55%、0.5%は31%、1.0%は17%となった。上昇幅が増加するほど割合は低下している。

ただし、10月の結果は0.1%上昇が82%、0.3%が42%、0.5%が23%(1.0%の設問はなし)だったので、10月調査と比べ「受け入れる」の割合は高まった。金利上昇が続く中で、借入金利上昇はやむを得ないとの見方が少しずつ増えているのだろう。
金利上昇については、昨年12月に経団連が会員企業に対し実施した「金利のある世界」に関するアンケート調査を公表。大企業が対象であるためか、7割弱がポジティブな印象を持ち、ネガティブな印象を持つ企業は約3割にとどまった(表2)。

その理由として、ポジティブと答えた企業では、金利のある世界は「本来あるべき経済環境」とする割合が最も高く、「景気が良い状態を指すものと捉えている」が続いた。ネガティブと答えた企業では、「借入コストの増加」が最多。また、金利上昇への非財務面での対応としては、「価格戦略の見直し」と「高生産性事業の拡大」と答える割合がほぼ並んで最も多かった。
金利上昇に関しては、借入の多寡や企業規模などによって感じ方は異なるだろう。昨秋の千葉県企業を対象とした特別調査(ひまわりベンチャー育成基金<総研が受託・実施>)では、金利上昇は自社の業績に対し、5割強がマイナスの影響、4割弱がさほどの影響はない・プラスの影響と回答しており、企業によるバラツキが大きかった。
いずれにせよ、金利は緩やかながらも上昇傾向が続きそうなだけに、それぞれの企業はどのように対応していくかの備えが求められるところだ。
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