Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

千葉県の公示地価─3つの特徴

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2025年3月25日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 先週、25年の地価公示(1月1日時点)が公表された。全国の地価は、全用途平均が前年比+2.7%と24年の上昇率(+2.3%)を上回り、4年連続の上昇となった。

 千葉県の公示地価については、3つの特徴がみられる。

 ①地価上昇率を全用途平均でみると(表1)、前年比+5.0%と12年連続の上昇。前年(+4.7%)を上回り、一都三県では東京都に次ぐ高さ。用途別には工業地(+9.9%)が強いことからみて、物流施設への需要拡大などが影響。

 ②地価水準を全用途平均でみると(表2)、一都三県では最も低い。埼玉県には近づいているが、東京都の約8分の1、神奈川県の半分強にとどまる。バブル期のピ-ク対比では7割下落と最低、ボトム対比では4割上昇と埼玉県よりは速いペースだが東京都の回復に比べるとかなり緩やか。

 ③地域別には上昇率のバラツキが大きい。1,200余りの調査地点のうち下落は67と、前々年(103)、前年(80)に比べ減少してはいるが、相応の地点で下落。東京都に近い地域での上昇が目立つ一方、地方圏では下落する地点の割合が多い。市町村別に全用途平均の上昇率をみると、1位の流山市が+13.1%(前年1位は市川市の+11.8%)の一方、最下位の銚子市は-2.8%(前年も銚子市が最下位で-2.5%)。

 以上の結果からみると、千葉県の地価上昇には、住宅地を含めた東京都の地価上昇の波及に加え、近年の高速道路網の整備や成田空港の機能強化などが影響しており、根本には千葉県の地価の割安感が存在していると考えられる。また、地域によるバラツキは夫々の経済発展の将来性などを反映したものと考えられる。

 このため、現時点では千葉県においては地価形成にバブル的な要素は小さく、一部の地域を除いては割安感からの地価上昇余地がなお相応にあると言える。ただし、千葉県の地価上昇は、東京都の地価上昇に支えられている面もあるため、急ピッチの上昇を続けている都心の地価動向の先行きについては注意してみていく必要がある。

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