Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

空港周辺地域の産業集積─成田空港活用協議会セミナー

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2025年4月14日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 3月下旬、成田空港活用協議会主催の「さらなる高まりが期待される成田空港周辺地域の産業立地ポテンシャル」をテーマとするセミナーが、千葉銀行本店で開催された。

 成田空港では28年度末を目指し、第3滑走路の建設など大幅な機能強化を予定。その後、旅客ターミナルのワンターミナル化、新貨物地区の整備と圏央道への直接アクセスなども計画。国際ハブ空港への発展に加え、周辺を含めたグローバル・エアポートシティ構想も示されている。

 今回のセミナーは、周辺地域での産業集積に関し意見交換をすることを目的としたものだ。千葉県では昨年12月、周辺における地域未来投資促進法に基づいた規制緩和などの対象産業に関し、従来の物流に精密機器、航空宇宙、健康医療、農業、観光を加えることで国と合意した。

 第1部は、航空物流、医薬品、農産物輸出の企業、産業集積を支える成田市といった多様な立場からの基調講演。第2部は、「機能強化の民間・行政へのインパクト」と「産業集積にとって重要な要素」の2つのテーマに関するパネルディスカッションで、私がコーディネーターを務めた。

 印象に残った参加者からの発言は以下のとおり。

 (機能強化のインパクト)

  • 新貨物地区によって貨物ハブ空港としての競争力強化が期待できる。
  • 自然の中での療養は貴重。空港周辺はメディカルツーリズムの可能性が大きい。
  • 農家の輸出に対する意識はさらに高まる。
  • 周辺地域の地方創生にも繋がるが、県内外の認知度はまだ低い。

 (産業集積にとって重要な要素)

  • 民間の要望を丁寧に聞くことが大事。外国人材に関する規制緩和も必要。
  • 国家戦略特区の力は凄い。千葉県でも、千葉市・成田市以外にも拡げる必要。
  • 農水産物に関しては、インバウンド体験と輸出の相乗作用を高める必要。
  • 周辺インフラは脆弱で機能強化が必要。農地転用に関する弾力化も期待。
  • 4月に立ち上がるNRTエリアデザインセンターを有効に活用していく必要。

 最後に私から総括として、①官民の連携強化、②県全体への効果波及、③県内外への周知活動などの必要性についてコメントした。

 詳細についてご関心のある方は、当社のマネジメントスクエア(7月号)をご覧いただきたい。

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