Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

県内企業の「2024年問題」への対応状況

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2025年5月26日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 千葉経済センターは3月、「県内企業の『2024年問題』への対応状況」を公表した(ちばぎん総研が調査・分析を担当)。

 24年4月から運輸業、建設業に時間外労働時間の上限規制が適用された。いずれの産業も、名目生産額、事業所数、従業員数などにおいて全産業に占めるシェアは、県内の方が全国よりも大きく、千葉県経済の主要産業といえる。

 そうしたことを踏まえ、県内事業者(運輸217社、建設180社)へのアンケートをもとに、24年問題に対する事業者の受け止め方や対応状況を取りまとめた。

 調査結果のポイントは以下のとおり。

  • 運輸業の6割、建設業の5割が、24年問題が自社の経営に負の影響を及ぼしたと回答。
  • 運輸業、建設業とも、前年と比べると人手不足が厳しくなったとの回答が多いが、人手不足が改善した先は業績が改善する傾向が見てとれる。
  • 運輸業では9割弱の事業者が、建設業では7割方の事業者が、24年問題への具体的な対応策を実施。対応策を実施した先は、未実施先と比べて人手不足の度合いが軽く、業績も良好となる傾向。
  • 具体的な対応策としては、「値上げ交渉の実施」や「従業員の賃上げ」が多い。 値上げは業績にプラスに働く一方、賃上げだけでは人手不足の緩和につながりにくく、人事全般に目を配る必要がある。
  • 有効な人手不足対応は、運輸業では、「付帯作業・荷待ち時間削減の交渉」「運行・勤怠管理システム等の導入」「輸送スケジュールの延長」。
  • 建設業では、「事務作業の見直し・削減」「工事手順の効率化」「他社との連携強化」「ICT建機の導入」。
  • 働き手が減少する中で事業の継続・成長を図るうえでは、特に生産性向上策を同時に複数かつ前倒しで実施していくことが重要。

 調査レポートでは、24年問題に対する県内事業者の先進事例も紹介している。会員企業の皆さんにも是非ご活用いただければと思う。

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