Business Letter
「点描」
社長 前田栄治
トランプ関税にも拘わらず千葉県企業の業績見通しはしっかり
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2025年8月4日号に掲載)
前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]
先週公表された「千葉県企業経営動向調査(4~6月)」(ひまわりベンチャー育成基金<総研が受託>、実施期間は6/2~7/14日)をみると、物価高やトランプ関税などの逆風にも拘わらず、25年度は前年度に続き増収・増益の見通しが多い(表1)。21年度以降5年連続となる。

多少気になるのは、設備投資の見通しについて減少が増加を上回っていること(同表1)。ただし、売上・収益の見通しが堅調であることや、経営課題として「設備投資の拡大」や「成長分野の強化」などを挙げる先が昨年度より増えていることなども踏まえると、企業の投資スタンスが後退しているとは考えにくい。4年連続の増加のあと、概ね高水準の計画とみてよいだろう。
今回は米トランプ関税の影響についても調査した(表2)。それによると、既にマイナスの影響が出ているとする企業は7.3%と小さいが、これからマイナスの影響が生じるとの想定が36.0%となり、合計43.3%の企業がマイナスと回答。

業種別には製造業、規模別には中小企業でマイナスの影響と回答する割合が高い。主に中小製造業において、納入先である大手輸出企業を通じたマイナスの影響を懸念している模様だ。
もっとも、東京商工リサーチが実施した全国の同様の調査では、マイナスの影響との回答は58%に上り、今回の千葉県企業の43%は全国に比べ小さい。千葉県では自動車など輸出関連が少ないためだろう。
また、今回調査でマイナスの影響と答えた企業の事業見通しをみると、利益見通しは全体より弱いが、設備投資計画は強い。千葉県企業の投資スタンスはトランプ関税で大きな影響を受けていないようだ。
さらに、トランプ関税が4月初に提示されたものより低い税率で合意が実現したのは、7月22日と今回調査後のことである。
先行き、トランプ関税が内外経済をある程度下押ししていくとはみられるが、以上を踏まえると、千葉県経済への影響は過度に懸念する必要はないとみてよいだろう。
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