Business Letter
「点描」
社長 前田栄治
4~6月のGDP─引き続き名目中心にしっかり
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2025年8月15日号に掲載)
前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]
本日(8/15日)公表された25年4~6月の実質GDPは、前期比+0.3%(年率+1.0%)と5期連続のプラス成長(表1)。また、物価動向を含む名目GDPは前期比+1.3%(年率+5.1%)と引き続き高い成長。

実質成長については、速報時点でマイナスであった1~3月が上方改定されプラスに転じた結果、5期連続のプラス成長となった。また、前年比でみると、実質が+1.2%と4期連続で1%前後の成長、名目は+4.2%と引き続き高い伸び。
需要項目別には、設備投資が高めの成長を続け(前期比+1.3%)、個人消費も小幅ながら引き続きプラス(+0.2%)。後者については、コメに代表される物価高の影響から節約志向がみられているが、全体としては雇用・所得環境の改善に支えられ、緩やかながら増加傾向を維持しているようだ。
これらを踏まえると、日本経済は緩やかな成長を維持しており、価格転嫁が相応に進捗しているものと考えられる。
主要国との比較では(表2)、多少低めではあるが、そもそも日本経済の実力が人口減などから低い(潜在成長率は+0%台半ば)ことを踏まえると、実力比で弱いものではない。

先行きについても、基本的には振れを伴いながらも緩やかな成長を維持すると予想される。最高値を更新するといった最近の株価の強さは、トランプ関税の交渉合意を囃した行き過ぎの面もないではない。しかし、名目成長がしっかりしていることは株価の上昇傾向をそれなりに正当化しているようにも見える。
ただし、ウクライナ・中東情勢を含め世界経済の不確実性はなお高い。決着しつつあるトランプ関税の影響が、今後ジワジワ拡がってくるとの見方も少なくない。私自身は、「警戒感を抱きながらもどちらかと言えば楽観的(cautiously optimistic)」の立場をとっておきたい。
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