Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

開業20周年を迎えたつくばエクスプレス

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2025年11月26日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 本年8月24日、つくばエクスプレス(TX<秋葉原・つくば間>)が開業20周年を迎えた。乗車人員数(一日平均、表1)をみると、沿線開発の活発化とともに右肩上がりで増加し、25年度(上半期)は05年の開業時の2.8倍にあたる42.3万人にのぼった。千葉県内の駅の乗車人員は、05年比3.4倍(3.5万人→12.2万人)と全体の伸びを上回った。

 沿線自治体の25年の人口(住民基本台帳、日本人、1/1日時点)は、流山市が05年比で+38.1%、柏市は同+12.8%と、ともに県平均(同+1.0%)を大きく上回って増加。

 25年の住宅地地価(7/1日時点、表2)については、流山市が05年比+59.0%と県全体(+22.6%)を大きく上回り、TX駅最寄りの基準地点の高い伸びが全体を押し上げた。柏市では05年比で+11.3%にとどまったが、柏の葉キャンパス駅最寄りの地点が同+42.6%となった。茨城県の沿線の地価上昇も顕著だ。

 本年7月、TXを運営する首都圏新都市鉄道が、TXを東京駅へ延伸した場合の効果検証調査を開始すると発表。これは国の交通政策審議会が21年に、東京駅と有明・東京ビッグサイト駅を結ぶ「都心部・臨海地域地下鉄」の構想とTX延伸の一体的整備が望ましいとの方向性を示したことに加え、TX沿線4都県11区市らによる期成同盟会(24年12月結成)から要望があったことによるものだ。

 他方、茨城県は、つくばから土浦方面への延伸を具体化させるべく、独自の事業計画素案を本年2月に取りまとめた。期待される経済的効果として、秋葉原駅から鉄道2時間圏域の県内居住人口が約14万人増加することなどを挙げている。

 TXは千葉県北西部の経済発展に大きく貢献してきたが、今後も以上のような延伸が実現していけば、その効果は強化されそうだ。

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