Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

株価上昇─背景と今後の行方

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2026年1月15日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 日本の株価は、24年にバブル期の高値(89年末)を更新した後、振れを伴いつつも上昇傾向を辿り、新年入り後も最高値を記録(図1)。その持続性に注目が集まるが、まず日本株上昇の背景を整理すると以下の通り。

 第1に、長い目でみた基本的背景として、日本経済がデフレから脱却し名目成長が高まっていること(図2)。株高の原動力となる収益増加と整合的な動きだ。

 第2に、24年からのNISAの大幅拡充。リスクに慎重な日本人も、リスク資産の優遇とインフレ・ヘッジ意識の高まりが相俟って、預金など安全資産から日本株を含めたリスク資産にシフトする動きを強めている。

 第3に、ここ1~2年は世界的なAIブームが株価上昇の重要な要素となっていること。東証全体を示すTOPIXに比べ主要株から構成される日経225の上昇スピードが速いのは(前掲図1)、傾向的に主要企業の成長が速いことに加え、最近では半導体製造装置などAI関連の大幅高の影響が強くでやすいことによるもの。

 第4に、昨年秋以降は、「強い経済」を目指す高市政権による積極財政・金融緩和継続の期待が高まっていること(「高市トレード」)の影響も大きい。

 現在の株価水準の評価は難しいが、PER(収益に対する株価の比率)をみると(図3)、概ね10倍台後半であり、過去数年に比べると多少高いが、極端に割高感が目立っているほどでもない。今後も基本的には、名目成長が続けば、振れを伴いつつも日本株の上昇傾向は維持されるとみてよいだろう。

 ただし、幾つかの気になる点もある。短期的には、このところの上昇テンポが速いことに加え、AI関連の株価に行き過ぎの感があるほか、ベネゼエラ情勢やパウエルFRB議長への刑事捜査といった悪材料を無視していることは、世界的な株価調整につながるリスクがある。「高市トレード」が、インフレ加速や大幅利上げなどを背景に、逆回転するリスクにも一応注意しておきたい。

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