Business Letter
「点描」
社長 前田栄治
IMF世界経済見通し─「様々な力が働く中で安定的」
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2026年1月22日号に掲載)
前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]
今週、IMF(国際通貨基金)の世界経済見通しが公表された。副題は「様々な力が働く中、安定的に推移」(Global Economy Steady amid Divergent Forces)。
IMFでは昨年4月、トランプ関税の影響を織り込み25、26年の経済見通しを大きく下方修正したが、7、10月に続き1月も上方修正し、両年とも4月の下振れを取り戻した。この結果、27年にかけて3%前半の成長が続く姿(下表)。

世界経済の長期的な平均成長率(3%台半ば)に比べるとやや低めながら、トランプ関税の割には堅調な成長である。
IMFでは、トランプ関税による逆風を、①世界的なAI投資ブーム、②予想以上の財政刺激、③緩和的な金融環境などの力が相殺しているとの見立てだ。
ただ、こうした様々な力が交錯する微妙な均衡のもとでは、なお下方リスクに注意が必要との見解を示した。具体的には、行き過ぎたAIブームの修正、財政持続性への疑念の高まり、貿易摩擦の激化、地政学的な緊張などを挙げた。金融経済の安定にとって中央銀行の独立性が重要であることも指摘した。
トランプ政権では、物価高への批判や低迷する支持率を意識してか、国際秩序の大きな修正に繋がりうる行動が相次いでいる。ベネズエラ大統領の拘束に加え、関係国への追加関税もチラつかせつつ、イラン情勢やグリーンランドへの関与も強めている。このことは軍事面を含め、国際関係の一層の緊張化にも繋がりうる。
米国内では、トランプ自身は関与を否定するが、パウエルFRB議長の刑事捜査という中銀独立性を損ないかねない動きもみられる。
AI投資など前向きな企業行動に支えられ、日本経済は堅調さを維持するというのが基本シナリオだが、世界情勢には十分な注意が求められる。日本でも、積極財政が、本当に健全性が保たれる「責任ある」ものであり続けるのか、放漫と受け取られ一段の円安・長期金利高に繋がるものとなるのか、注意深くみていく必要がある。
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