Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

イラン攻撃─日本経済にとって3つの不安材料

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2026年3月3日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 2月28日、米国とイスラエルがイラン攻撃を開始し、その展開と世界経済への影響が懸念されている。

 攻撃のきっかけは、昨年末以降のイラン国内での抗議デモに対する政府の弾圧行為への介入という面があったが、底流にある目的は、イランの核開発などを通じた米国・イスラエルに対する潜在的脅威の排除とそれに繋がるイランの体制転換ということになるのだろう。

 イランによりホルムズ海峡が事実上閉鎖されたこともあり、市場は原油高・株安・円安で反応しているが、極めて大きな変動とまでは言えない。その背景には、米国・イスラエルとイランの軍事力の圧倒的な差などを踏まえると紛争は長期化・激化しないとの見方が比較的多いことがあるように見受けられる。

 また、日本では、石油備蓄日数が長期的に増加し、現在は250日分程度存在する。これは国際エネルギー機関が義務付けた90日分程度を大きく上回り、紛争のある程度の長期化には耐えられる体制であることも支えだ。

 とは言え今後、紛争が大幅に長期化したり、中東諸国の原油関連施設が大きな打撃を受けたりしたような場合には、原油の供給不足、大幅な価格上昇などにより、日本の金融市場や経済にも大きな影響を及ぼし得る。

 その際、日本にとっては、主に3つの不安材料に注意が必要だ。

 ①原油の中東依存度の高さ(9割以上)による米欧に比べた影響の大きさ。米国は今や世界最大の産油国であり、欧州は中東に隣接しつつも原油の中東依存度は2~3割とされる。

 ②株式市場の潜在的な調整圧力。昨年秋以降、日本の株価上昇のスピードが速く、株価収益率(PER)は20倍程度と過去平均である約15倍を上回るなど割高感があるため、大きな負のショックに反応しやすい可能性。

 ③財政・金融政策運営の難しさ。もともと円安・物価高が進んでいただけに、原油高などによる景気下押し圧力に財政支援・利上げ停止などで対応しようとすると、それを材料に円安・物価高がさらに進むリスクがあること。

 これら不安材料は、紛争が長期化・激化するという場合に顕在化しうるものであり、過度に懸念する必要もないが、一応頭の片隅に入れておいた方が良さそうだ。

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