わたしの意見-
水野 創

1~3月GDP統計は来月の2次速報を待つ必要

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2018年5月25日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 1~3月期実質GDPの1次速報が公表され(16日)、季節調整済み前期比が9四半期ぶりにマイナス(▲0.2%)となったことが話題となった。

 1~3月期が内外政治情勢と市場の動揺、天候不順(大雪等)、物価上昇の影響を受けたのは理解できるとして、驚いたのは最近まで官民ともに1.8~1.9%の高い成長を見通していた2017年度の実質成長率が1.5%にとどまったことである。

 今回新たに発表された1~3月期の伸びが低かっただけでなく、GDP統計作成の基となる各統計の遡及改定によって、それ以前の、特に10~12月期が前回発表(3月)から大きく下方修正されている。内訳をみても、家計部門(消費)だけでなく収益好調の企業部門(設備投資)も下方修正され、各項目の政府経済見通しも未達に終わった。

 2017年度はトランプ大統領選出後の円安、株高、世界経済の回復方向により回復感は強まっていた。各見通しがその実感をよく表していただけに、意外感が強い。

 海外生産が進む一方、成長戦略の遅れの影響が出ているとの評価も可能だが、その場合には、先行きへの心配も強まってしまう。

 日頃の経営者の皆様との意見交換では、1~3月の市場の動揺を無事乗り切り、足元の景気が弱気化している印象はない。

 今回の発表を受け、今後発表される各種経済見通しはやや慎重になることも予想されるが現時点ではあまり振れる必要はないと思う。

 さしあたり、法人企業統計など法人部門の基礎統計が充実する、来月発表の2次速報を待つことにしたい。

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