わたしの意見-
水野 創

3,4月の東京圏、人口増加の意外な内訳

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2022年6月8日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所 前取締役会長]

 3,4月中の人口動態が明らかになった。春の引っ越しピーク期とコロナ水際対策緩和による外国人の入国再開で、千葉県、東京圏1都3県ともに人口は増加した(図表1、2)。

 もっとも内訳をみると意外な点がいくつもあった。

 ①人口増加計に対する各都県の構成比をみると、コロナ禍前の2019年の姿にほぼ戻ってしまっている。過密な東京都を避けようという動きは、早くも過去のものになってしまったようだ。

 ②1都3県の今年の増加幅を2019年と比較すると、千葉県の復元力が高め。東京都、神奈川県が平均並みで埼玉県がやや低い。成田空港のおひざ元の千葉県が海外からの入国再開の恩恵を受けているのかもしれない。

 ③日本人、外国人別統計が公表されている千葉県についてみると(図表3)、外国人の増勢回復が顕著なのに対し、日本人の社会増減増加幅は昨年までに比べやや縮小。東京都を避ける動きが元に戻ったほか、全国の人口減少が進行し東京圏への引っ越しの減少としても表れているのだろう。3,4月は出生も回復しておらず先行きが気懸かり。

 ④千葉県の人口増加の日本人、外国人比率は27:73と、2019年の65:35から逆転している。外国人の入国制限緩和のペース次第だが、増加に占める外国人の比率は今後一段と高まるのだろう。

 増加でホッとはしたが、今回は年間の移動ピーク時と外国人入国再開が重なった変化が大きく出る可能性のある期間でもある。今後の推移を注視したい。

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