わたしの意見-
水野 創

「人生100年時代」から「高齢者の死亡率の高いウイルスと共存する時代」に

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2020年2月28日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 新型コロナウイルス感染拡大が続いている。国内感染3類型(①クルーズ船、②チャーター便での帰国者、③それ以外の事例)のうち、今週(2月25日から)の国内での感染の勢いを示す③が先週のペースをやや上回っている。また、学校教師、スポーツクラブ等感染者の属性・濃厚接触者情報の発表やクルーズ船関連の増加も緊張を高めている。

 この間、政府が取りまとめた基本方針は、ウイルス撲滅は無理、感染拡大は仕方ないとの前提でまとめられた。若くて元気な世代にとってはそれほどの衝撃はないかもしれないが、年を取り、持病を持つ者にとっては大変な衝撃だ。

 中国の感染4万人のデータ分析で、年代別の致死率が60代から急激に上昇するからだ。日本の事例でも死亡しているのは全員80代だ(年齢非公表の一人を除く)。

 こうした状況が続くことになると、高齢者にとって「人生100年時代」は急に色あせてくる。

 100才に備え貯蓄に励むより、感染防止、感染しても無症状・軽症で済むような体力増強、健康管理に積極的にお金を使った方がよいと人生観を変えるかもしれない。

 今後の感染、特効薬の開発状況等にもよるが、動揺する株式市場、委縮する消費にとどまらず、影響は多方面に及ぶことになりそうだ。

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