Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

日銀会合:1%への利上げを決定

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2026年6月17日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 日銀は昨日(6/16日)、金融政策決定会合を開催し、短期政策金利の誘導目標を0.75%程度から1.0%程度へと引き上げることを決定。前回の利上げ(昨年12月)からは半年が経過。

 今回の利上げは、景気がやや減速しつつも緩やかな成長を維持する一方、基調的な物価上昇率は2%目標に近づいており、原油高・円安もあって上振れのリスクが高まっていると判断したためと考えられる。

 日銀が注目していたのは、春以降上昇してきた輸入コストの価格転嫁の状況と、中東情勢の景気への影響。

 価格転嫁は、ガソリン等への補助金が抑制に働きつつも、企業間取引では4月以降やや速いスピードで転嫁が進んでおり、消費者段階の価格上昇に幅広く波及する可能性が高まっていると判断。

 中東情勢の景気への影響に関しては、高水準の収益のもとで企業の支出行動は引き続き積極的であるほか、懸念されたナフサなど石油化学製品の品不足についても官民挙げての代替調達の動きから大規模なサプライチェーン障害に至るリスクは低下したことから、景気は底堅さを維持すると判断。また、直近の終戦に向けた米イラン合意の動きもポジティブな材料だ。

 短期政策金利1.0%は95年以来の水準となり、今後の企業借入などへの影響には注意が必要。しかし、購入する設備・土地や商品などの価格上昇が平均すれば年率1%を明確に上回っているため、設備投資や原材料調達における実質的な金利負担はなお大きくないと考えられる。

 今後の利上げについては、公表文において「金融環境はなお緩和的であり、引き続き政策金利を引き上げていく」としている。会合後の内田副総裁の記者会見では、そのペースやタイミングについて「中東情勢の影響を含めて経済・物価情勢や金融為替市場を点検しながらその都度判断」と予断を示さなかった。

 不透明な部分は多いが、基本的にはこれまでと同様、おおよそ半年に1回程度のペースで利上げされるとみておいた方がよいだろう。ただし日銀は、今回の公表文で基調的な物価上昇率が目標の2%を上回っていくリスクを初めて明示したほか、記者会見でもビハインド・ザ・カーブ(金融緩和の修正が後手に回ること)のリスクにも言及。そうしたリスクが高まる場合には、利上げペースが多少速まる可能性もある。次回利上げのタイミングは、基本シナリオが12月、場合によっては10月といったイメージを念頭に置いておきたい。

 

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