Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

中長期の金利はどこまで上昇するか:一応の目安と不確実性

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2026年8月27日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 中長期の金利は上昇傾向を続けており、その行方に注目が集まる。

 10年物国債金利でみると、8月中旬に3%に近づいたあと、足もとは2.9%前後。企業の中期の借入金利や社債金利への影響が大きい5年物国債金利は、8月中旬に2.2%前後まで上昇したあと、足もとでは2.1%台半ば。いずれも90年代半ば以来の高さだ(下図)。

 これらは1%程度の短期金利(コールレート)と比べ、10年で2%弱、5年で1%強上回る。過去1年の上昇幅は10年、5年とも1%以上であり、短期金利の0.5%に比べかなり大きい。

 では中長期の金利はどこまで上昇するか。中長期の金利は、将来の短期金利の予想に各種のプレミアムを上乗せしたものとなる。短期金利については、日銀の政策に対する予想となるが、最近では現在の1%程度から1.75~2.0%程度(①)まで上昇するとの見方が多い模様。投資家はその予想をベースとして、価格が変動しやすく資金も固定化される債券には、期間プレミアムを要求する。また、将来のインフレリスクや財政の持続性リスクに応じたプレミアムも要求する。

 短期金利だけでなく上乗せされるプレミアムの幅も不確実だ。ちなみに、国債の大量買入れを軸とする2013年春に導入された異次元緩和より前(90年代前半以降)の平均値でみると、10年物は1%台前半から半ば、5年物は0%台後半(②)となる。なお、現在の短期金利に比べた上乗せ幅がそれら平均値より高いのは、短期金利が依然として上昇局面にあるためと考えられる。

 上記の①と②を機械的に加えると10年物金利が3%台前半から半ば程度、5年物金利は2%台後半程度となり、ピークに関する現時点での「一応の目安」とみることもできる。今後の上昇余地は十分あるが、極めて大きくもないといった感じか。

 ただ、インフレリスクや財政リスクが高まるような場合には、目安を超えて中長期の金利が上昇するリスクがある。一方、円安が修正されたり、インフレリスクが低下したりすると、金利の上昇余地が小さくなり得る。海外金利の変動にも影響を受ける。少なくとも短期的には、市場は上下に大きく変動しうる。

 中長期金利の先行きについては、前述のような現時点での「一応の目安」を念頭に置きつつ、影響を及ぼす諸要因の動向を冷静にみていく必要がある。

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