わたしの意見-
水野 創

期待が膨らむ柏の葉キャンパスシティ

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」10月13日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 先日、柏市を訪れ、柏の葉キャンパスシティが新たに展開する「スマートシティ」、「健康長寿都市」、「新産業創造都市」の3事業について現地で説明を受ける機会があった。

 3事業は地域と関係が深い「環境」、「高齢化」、「産業育成」の3分野に対応している。すなわち、①柏市は2008年に「柏市地球温暖化対策計画」を策定した環境先進自治体であり、東葛地域では、②首都圏のベッドタウンとして転入してきた住民の高齢化が今後急速に進み、また、③従来から新産業育成に熱心であった。

 こうした流れに比べ、今回の取り組みは以下の点で特徴がある。

 (1)つくばエクスプレス駅前の好立地での新しいまちづくりを行いつつ、3分野で同時に取り組んでいること。

 (2)柏市、千葉県、東京大学、千葉大学、三井不動産を中心とする公民学連携のプロジェクトであるとともに、地域住民も積極的に新しいまちづくりに参加していること。

 (3)9月末に締め切られた政府の「地域活性化総合特区」、「環境未来都市」の申請を行っていること。

 プロジェクト関連施設は2014年の竣工予定だが、地域内の移動手段への電気自動車の共用や地域イベントの開催、新しい「植物工場」の実験等は既に始まっている。

 若者から高齢者そして地域の企業などが一体となって、元気に、それぞれの知見・得意分野を活かしながら、環境に配慮したまちづくりや産業育成に取り組んでいく都市の姿は、世界の未来像につながるものである。

 東日本大震災の被災地でも、「スマートシティ」に取り組む動きがみられる。本プロジェクトが上記特徴を生かしてできるだけ早く「世界一」の成果を上げ、①対象となる地域が拡大し、②地域の企業に対し新しいビジネスチャンスを広げると共に、いずれは、③まちづくりの知見そのものも、国内外に販売、輸出できるようになることが期待される。

●当ウェブサイトに記載されているあらゆる内容の著作権は、株式会社ちばぎん総合研究所及び情報提供者に帰属し、いかなる目的であれ無断での複製、転載、転送、改編、修正、追加など一切の行為を禁じます。