わたしの意見-
水野 創

期待通り、個人消費の回復傾向

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2015年6月18日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 2015年度第一四半期がまもなく終了する。個人消費は所得の増加、原油価格下落・消費税引き上げの影響一巡から4月以降回復が明確になると考えていたが、天候にも恵まれ期待通りの展開になっているようだ。

 発表されている4月分以降の統計をみると(表1)、全国の雇用、賃金が前年比で伸び率を高め、消費者物価指数の大幅伸び率低下から実質所得はプラスに転じている。東大日次物価指数も月次ベースで5月には前年比プラスとなり、同売上高指数が4月に前年大幅減少の裏で2桁の増加となったあと5月も増加となっていることと併せ、商品の値上げが受け入れられ始めていることを窺わせる(千葉県の雇用統計4月分は未発表)。また、南関東の景気ウォッチャー調査は改善している。

 株価だけでなく都市部の地価が上昇傾向を続けており(表2、3)、資産効果も消費の押し上げ要因となっている。

 もとより日次物価指数で牛乳、アイス、ヨーグルト、冷凍総菜等が上昇している一方、コメ、洗濯用洗剤等は下落しているなど消費の2極化が解消されているわけではない。しかし、国内要因だけから見れば、実質所得上昇の定着、消費者マインド好転による消費性向の一定の回復から、個人消費の回復は、当面、一段と明確になり、円安傾向持続、外国人観光客増加の効果とともに個人消費関連業種の業績にも好影響があると思う。

 今後、万一、海外要因や天候などにより好循環に水がさされるような事態が生じたら、時機を失することのなく対策が講じられるよう期待したい。

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