わたしの意見-
水野 創

大荒れの市場、今回は経済への影響は回避

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2015年8月28日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 先週から大荒れだった株式、為替市場も漸く落ち着いてきたようだ。

 年初来、既に何度も荒れた市場を経験しているが、米国金融政策変更がいよいよ近づき、中国に対する不安、不信も重なった今回は、一段と大きな振れとなった。

 もっとも急落の期間が一週間程度だったので、実体経済への影響はおそらく回避できたと思う。

 ①米国経済は回復を持続している

 ②日本も消費税引き上げの影響一巡から、地域・業種・規模の差は残っているが緩やかな回復を維持している

 ③中国はもともと減速が続いているうえ、天津爆発事故の後遺症も予想される。ただ、権力闘争を続ける政権は経済・市場を支えるため次々と対策を講じており、直ちに大きく崩れることは想定しにくい

 ④中国経済の減速で資源価格の基調は弱い

 ⑤円相場はこれまでに比べ円安スピードが落ちる(人民元相場は下落方向)

 本年はもともと「米国金融政策変更による市場混乱リスク」、「市場の評価の急変リスク」の心構えが必要な年だった。世界中の緩和資金が今なお増え続けている現状では、何らかの事情で投資家心理に一方向の動揺が生じれば、これからも大きな市場変動が予想される。

 当面、中国経済減速の相応の影響は避けられないにしても、市場の乱暴な動きが長引くと資産効果の減少や企業収益の悪化に端を発した実体経済へのリスクも高まってしまう。

 世界中の金融緩和がここまで進んでしまっていると、実体経済が悪化した時に即効性のある有効な政策を講じることは極めて難しい。

 市場変動による実体経済への影響が大きくならないよう、心理的な動揺の抑止を含め、政策当局の迅速な対策を期待したい。

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