わたしの意見-
水野 創

現時点での「2016年の回顧と展望」

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2016年12月2日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 年末まで、日ロ首脳会談、米国の金利引き上げの可能性等、まだ多くのイベントを控えているが、「2016年の回顧と展望」について質問を受けることが多くなってきた。

 今年の特徴は、何と言っても先進国のナショナリズム、ポピュリズムと新興国・資源国などの地政学リスクの高まりだ。特に先進国で、投票結果が、開票が始まっても分らず、最終的に予想外の結果になるということは昨年までは考えられなかったことだ。

 投機資金により市場の振れは大きく、世界経済の不透明感の強まりが成長の阻害要因になっている。今後の米国の金利引き上げや新大統領の政策が明確になるまでこうした状況が続くだろう。

 この間、日本は、デフレや人口・財政等の構造問題解決に向け試行錯誤を続けているが、①今年多発した過疎・高齢化地方での地震、水害被害や②高齢者が運転する自動車の悲惨な事故は、このまま対策が講じられないと、どのような社会が待ち受けているかを我々に突きつけた。

 現在、我々が成長戦略として取り組んでいることの多く、地方創生、ロボット・AI・IoTといったイノベーション、2020年オリパラに向けた観光・ビジネス拠点の整備、強靭化投資等は、まさにこうした現状を克服するために必須の対応だと思う。

 地域の動向を見ると、中堅・中小企業の一部は成果を上げ始めているように思う。問題が先鋭化しているだけに、今後は、対応の動きにも弾みがつくことが期待される。

 原油価格の反発・円安傾向により物価が上昇に転じ、国民の先行き不安解消にもまだ時間がかかるため家計部門の回復は引き続き緩やかだが、2017年は企業活動や公共投資の活発化により回復力が強まっていくと思う。

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