わたしの意見-
水野 創

復興への道筋(4)―― 阪神・淡路大震災の復興計画を参考に

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」4月6日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 復興計画について、阪神・淡路大震災の経験を確認した(出所:兵庫県ホームページ)。

 (復興計画の流れ)
○阪神・淡路震災復興戦略ビジョン(平成7年3月)
――「都市再生戦略策定懇話会」(座長:新野幸次郎神戸大学元学長)提言
○阪神・淡路震災復興計画―基本構想―
○阪神・淡路震災復興計画(ひょうごフェニックス計画)(平成7年7月)
――10年計画。平成17年3月に終了。
――「阪神・淡路震災復興計画策定調査委員会」(委員長:三木信一神戸商科大学学長)が具体的な復興事業を検討・立案し提言
――分野別に「緊急復興3カ年計画」を策定(平成7年8月から11月)
○補完計画
――阪神・淡路震災復興計画推進方策(平成10年3月)
――後期5か年推進プログラム(平成12年11月)
――最終3か年推進プログラム(平成14年12月)
――最終3か年推進プログラムのフォローアップ(平成15年度)

 (阪神・淡路震災復興計画基本理念)
○人と自然、人と人、人と社会が調和する「共生社会」づくり
(1)「兵庫2001年計画」の理念に基づく先導的な復興事業を、この地域において推進する。
(2)高齢化・成熟化の進む21世紀へ向けて、一人ひとりが主体的に自らの生活を創造しながら、共生する社会づくりを進める。
(3)この地域の持つ文化的風土のうえに立って、外国に開かれたまちづくりを進める。
(4)自然への畏敬の念を持ち、自然と共生しながら、命を守り育む、アメニティ豊かな都市づくりを進める。

 (阪神・淡路震災復興計画基本目標)
(1)21世紀に対応した福祉のまちづくり
(2)世界に開かれた、文化豊かな社会づくり
(3)既存産業が高度化し、次世代産業もたくましく活動する社会づくり
(4)災害に強く、安心して暮らせる都市づくり
(5)多核・ネットワーク型都市圏の形成

 こうしてみると、前号のビジネスレターで掲げた基本方針と通じる点が多いと感じるが、今回の震災においては厳しさを増している点も多い。
 ・被害範囲、規模が格段に大きく国家としての対応がより重要となること
 ・原発事故の影響の大きさに直面しているほか、資源エネルギー制約の大きさを意識せざるを得ないこと
 ・グローバル化が一段と進んでいること
 ・高齢化・過疎化が一段と進行し年金、医療、介護を含む安心・安全の確立が必要になっていること
 ・財政の制約から施策の優先順位付けがこれまで以上に重要となっていること

 以上を考慮すると、今回の基本目標の骨子は以下のようになるのではないだろうか。
 1.自然と共存する国づくり
 2.徹底した省資源・省エネを実現する国づくり
 3.安心・安全な国づくり
 4.次世代に承継できる国づくり
 5.世界に恩返しができる国づくり(世界に貢献する国づくり)

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