わたしの意見-
水野 創

復興への道筋(5)――千葉県の復興計画(1)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」4月7日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 これまで2回、復興計画全体を話題としたが、千葉県の復興計画は、これまでに挙げた項目に加え、地域の実情に即し以下の4項目を盛り込むことが適当である。
 1. 千葉県の機能強化
 2. 傷ついたブランド力の再生・強化
 3. 風評被害からの脱却
 4. 復興のための基盤整備

 また、復興計画策定に当たっては、以下の2点に配慮する必要がある。

 第一に、復興計画は被災者に希望や復興の指針を与えるのみならず、例えば、浦安に住宅を取得しようと思っていた人に対して「適切な対策を講じれば、再び液状化現象に襲われるリスクは小さい」というように、広く内外に将来に対する懸念を払拭するような決意を発信する内容とすること。

 第二に、復興計画は、被災者の不安を解消するよう、長期的な目標とともに、目先数年の短期的な具体策も示すこと。

 今回の一連のビジネスレターの内容は、私個人の意見だが、今後、地域の関係者を含め検討が進むよう期待する。

 1.千葉県の機能強化
 復興後を展望した千葉県の機能は、千葉県の総合計画「輝け!ちば元気プラン」を踏まえ、以下の4点と考える。
 ①国内外のサプライチェーンの中で不可欠な役割を果たす企業・インフラ
 ②首都圏を中心に供給される農林水産物
 ③豊かな観光資源
 ④誰もが住みたくなる街

 「輝け!ちば元気プラン」は平成22年4月に策定され、以下を基本理念及び基本目標としている。
――基本理念:千葉は元気の発信源。首都圏、そして日本をリードし、県民が「くらし満足度日本一」を感じ、誇れる千葉を実現します。
――基本目標:県内にずっと住み続けたい県民の割合が、平成31年において85%を越えること。
(1)安全で豊かなくらしの実現
(2)千葉の未来を担う子どもの育成
(3)経済の活性化と交流基盤の整備
 ①光り輝く千葉の魅力を全国に発信
 ②挑戦し成長し続ける産業
 ③地域を支える力強い農林水産業
 ④活力ある交流拠点都市の形成とだれもが住みたくなるようなまちづくり

 地震と原発事故により、現在、千葉の元気の源の重要な要素である全国屈指の農林水産業、豊かな自然が大きく損なわれている。上記「1.千葉県の機能強化」で掲げた4項目は、「輝け!ちば元気プラン」の基本目標(3)の内容を「復興」の観点から整理したものである。

(2.以下は次回に続く)

●当ウェブサイトに記載されているあらゆる内容の著作権は、株式会社ちばぎん総合研究所及び情報提供者に帰属し、いかなる目的であれ無断での複製、転載、転送、改編、修正、追加など一切の行為を禁じます。