わたしの意見-
水野 創

シェアが低下した首都圏の国際線―3月の出入国管理統計

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」5月27日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 5月25日に公表された3月の出入国管理統計からは、地震・原発事故の影響が明確に読み取れる。

 (1)首都圏の日本人出国者、入国者は、全国合計を上回る落ち込みとなった。
――被災地に近い首都圏の消費マインドの低下や自粛の影響が大きかったと思われる。

 (2)外国人の入国者は全国、首都圏ともほぼ半減。
――地震・原発事故直後の3月は、外国人は日本全体を敬遠した状況を反映。

 (3)外国人の出国者は、全国ではマイナスだが、首都圏ではプラス。
――日本を離れる動きは首都圏で多い。

 (4)成田・羽田の首都圏2空港の3月の全国シェアは55%程度にまで低下した。特に成田空港のシェア低下が目立つ。

 4月についても、日本政府観光局の公表した外国人入国者や成田空港国際線の外国人旅客数は一段と減少している(それぞれの3、4月の前年比:▲50%→▲63%。▲34%→▲63%)。

 一方、4月の日本政府観光局の出国日本人数や成田空港国際線の日本人旅客数前年比は3月より回復しており(同:▲12%→▲9%。▲29%→▲26%)、余震や原発事故の風評被害の影響も今後は減少してくることが期待される。こうした中、成田空港はこのところ無料公衆無線LANサービスの提供範囲拡大や、店舗の見直し等サービス向上を続けており、環境改善に備えた、競争力強化のための継続的取り組みが期待される。

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