わたしの意見-
水野 創

復興加速の鍵は個人消費― 政府・東電にはあまり期待できないとして ―

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」6月6日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 内閣府発表の1-3月期のGDP速報は実質で年率▲3.7%となり、財務省発表の4月の輸出も前年比▲12.4%と減少が続いた。こうした状況を心配し、「先行きはどうなるのか」とよく質問を受ける。

 結論から言えば、「鍵は個人消費」である。

 民間企業の生産はサプライチェーンの回復や節電にむけた関係者の懸命の努力により当初見通しより早いペースで回復している。世界経済は4%台の成長を続けており生産が回復すれば輸出は間を置かず増加に転じるだろう。

 これに対し、個人消費は回復に転じているとはいえ、失業の増加、祭りや花火大会の中止、観光の回復の遅れ等懸念材料が多い。新たなイベント実施、風評被害撲滅の取り組み、さらに国・県・市町村の復興予算の早期執行による雇用・所得環境の改善等によりどこまで消費マインドを盛り上げることが出来るかが鍵となる。そして、その結果が関連業界の企業収益、設備投資、雇用等に幅広く波及して景気全体を左右する。

 季節感あふれる天候や余震の減少等、自然の支援にも期待したい。

 なお、政府・東電にはこれ以上復興の妨げとならないよう願っている。

 (注)震災・原発事故後の経済活動は4月中旬頃から回復に転じていると考えられる。5月以降の統計により回復スピードが確認できよう。

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