わたしの意見-
水野 創
上振れの景気判断、下振れの2011年度成長率見通し
水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」6月16日号に掲載)
水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]
日本銀行は今月の金融経済月報で 「震災の影響により、生産面を中心に下押し圧力が続いているが、持ち直しの動きもみられている」と景気判断を先月より引き上げた(注)。一方、民間調査機関等の実質GDP成長率見通しはここに来て下振れしており、「回復スピードは期待に比べ遅い」と見ているエコノミストが多いことを示している。
(注)5月は「震災の影響により、生産面を中心に下押し圧力の強い状態にある」としていた。
回復スピードへの期待に水を差しているのは、(1)政治の混迷から復興後のわが国の姿が一向に見えてこないこと、(2)浜岡原発、関西電力の動き等から今後の電力需給に対する不安があること、(3)放射能測定・蓄積に対する不信・不安が強まっていること、そして(4)現実のものとなっている廃業等の動き、であると思う。
景気の先行きの鍵となる夏場の消費に向けてマインドを引き上げるために、上記について早期に対応し、将来への希望と安心・安全に対する信頼の回復が求められる。
そして我々一人ひとりが、昨年以上に夏休みを楽しみ、過度な節電によって過度な自粛と同様のマイナス効果を招かないよう努力したい。
今後は、2011年度の成長率見通しが上方修正される状況になるよう期待したい。
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