わたしの意見-
水野 創
ギリシャ、イタリアと世界経済
水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」11月09日号に掲載)
水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]
ギリシャは6日(日本時間7日)に大連立を合意し、年末までの同国国債償還時の債務不履行は避けられる見通しとなった。しかし、イタリア国債の利回り上昇が続く中、8日には議会の信任を失ったベルルスコーニ首相が辞任する見通しとなるなど、市場の動揺と政治の混乱が収まっていない。また、この間の相場変動で被害を受け、政治家の対応に憤懣やるかたない思いの経済人が世界中に大勢いると思う。
流動的な面が多いが、現時点での考慮点を整理しておきたい。
(1)経済が政治に振り回される状況は、8月の米国債務を巡る議会以降特に目立つ。与野党の勢力拮抗、選挙に向け野党が政権攻撃を優先する政治姿勢が米国、スロバキア、ギリシャ、イタリアと続出している中、こうした状況は当面も続くと覚悟しておく必要がある。
(2)ギリシャとイタリアの経済状況には図表の通り大きな差があり、年末の国債償還に懸念のあるギリシャと、ベルルスコーニ首相の資質の問われているイタリアとは同一には論じられない。
(3)ギリシャ債務の50%削減を受け、金融機関が貸出回収・債券売却等資産の圧縮を行うことにより、欧州経済だけでなく、従来、国外からの資金流入により成長と物価安定の両立に苦労していた新興国・資源国経済でも成長が減速する可能性がある。9月のIMFの世界経済の成長見通しは4%だが、これがどこまで減速し、国際商品市況、米国、わが国の経済にまで影響してくるのか、政治のかく乱要因も含めリスクを見極める必要がある。
●当ウェブサイトに記載されているあらゆる内容の著作権は、株式会社ちばぎん総合研究所及び情報提供者に帰属し、いかなる目的であれ無断での複製、転載、転送、改編、修正、追加など一切の行為を禁じます。