わたしの意見-
水野 創

「ベッドタウン」から「日中活動する街」に  

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」11月17日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 千葉県でも団塊世代のピーク層が60歳から64歳を迎えたことが、昨年10月の国勢調査の最新データにより確認できる(10月26日発表)。これまでの東京の「ベッドタウン」は、定年を迎えた人たちが「日中も活動する街」に変貌していく時である。

 こうした人たちが地域で健康で生きがいを持って暮らしを続けると共に、街そのものも活性化していくためには、(1)町内会、ボランティア活動、スポーツ・イベント参加等地域社会へのデビューをしやすい環境作りや(2)シルバー層が老後を楽しむ家庭農園、ゴルフ場、複合カフェ、カラオケ等の場の提供、特に参加型の場の提供が求められる。

 そして、地域全体の活力を増すという観点からは、こうした人たちが、(3)自ら自分たちに適した新しい産業を興したり、(4)地域のベンチャー企業に投資、経営参加していくことが期待される。

 すなわち、柏市や千葉市周辺はベンチャー企業の集積で知られるが、ベンチャー企業の場合、資金と営業、開発、経理等各部門を担う人材が不足しているケースが圧倒的に多い。定年退職者がこれまでの知見を生かせる企業に就職し、さらにはそこに投資して経営に参加するようになれば、こうした困難を克服し飛躍の可能性が大いに強まると思う。

 人口流入が続いている地域は、次に来るジュニア世代のピークも高い。今回の街づくりが成功すれば、その効果は次の世代にも通じる定住人口確保の道を築くだろう。一方、変化に対応できなければ、定年後にはより住みやすい町に転出する動きとなって地域の活力をそぐ恐れがあることも留意すべきである。

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