わたしの意見-
水野 創

デフレ脱却と財政再建  

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」12月22日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 デフレからの脱却と構造問題(年金、福祉、介護、財政)の解決、そのための政治のリーダーシップ発揮が我が国経済の閉塞感の打破に向け必須である。

 このうち、デフレからの脱却に向けた「日本再生の基本戦略」の「骨子」が決定され(15日)、経済運営の目標として、「名目成長率3%程度、実質成長率2%程度、インフレ率1%程度」が示された。

 検討が進んだことは朗報だが、以下の2点から「財政再建」優先の本音を感じる。

 ①今回の決定は「骨子」であり、具体的内容が固まるのは来年夏になる。増税決定に向け年度内に法案提出を目指すスケジュール観に比べなんとも悠長である。

 ②成長目標は昨年6月の新成長戦略同様だが、その確度について「政策努力の目標として取り組む」とされており、新成長戦略の「名目3%、実質2%を上回る成長を目指す」、「政策努力の目標と位置づけ、全力で取り組む」という表現に比べ後退している。目標達成に向けた本気度が心配だ。

 最近のGDP統計を見ると、生産・稼働率等に関係が深い実質成長率に比べ、利益、所得、税収と関係が深い名目成長率は回復の遅れが目立ち、GDPベースの物価(デフレーター)は下落が続いている。

 消費者物価指数では7~9月に前年を上回る水準となっており、デフレ脱却に向け需給が引き締まりつつあることは確かである。復興需要の増加とあわせ、需要を加速する具体的内容を早急に固め、実現していくことが重要である。

 繰り返し述べているが、増税先行では元気は出ない。経済成長と財政再建の同時推進、両立を実感できる経済運営が望まれる。  

 なお、「骨子」が発表されたため、「新・復興に向けて(2)」は次号に繰り延べます。

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