わたしの意見-
水野 創

県人口減少の評価  

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2月2日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 24年1月1日現在の千葉県の人口が前年比減少に転じたことが大きく報じられている。

 今回の減少は大震災、原発事故に伴う影響が大きく、液状化対策・除染の進捗や風評の落ち着きにより増加基調に戻ると考えているが、統計の動きを確認しておきたい。

 千葉県人口の月々の動きには季節性等があり、その季節性も時期により変化している。

 ①3、4月は卒業、就職、進学、転勤等動きが大きい。

 ②ここ数年、12月から2月は減少している。

 ③国勢調査年は振れる(悉皆調査による水準調整)。

 季節性等を薄め基調を分かりやすくするために3月、9月で区切った半年毎の人口推移を見ると以下のことがわかる。

 ①昨年3月以降の変化は明らか。東京湾沿いの液状化現象の被害地域や柏市は減少ないし増勢鈍化が顕著だが、木更津市や印西市も影響が見られる。

 ②なお今回は全ての市を調査したわけではないが、調査した6市以外でも減少している(更に調査が必要)。

 被災直後の転出の動きは一巡しており、今後はここ数年にみられた1、2月の転出の動き、3、4月の進学・就職期の転入動向が注目される。

 最終的に増加に戻る時期は、基調的な動き、安心・安全策の進捗、交通等インフラの整備による魅力向上の関係で決まる。弊社の調査では転出は賃借中心であること、被災地以外の不動産取引はほぼ元に戻っていること、過去の三陸の津波被害でも便利なところには人は必ず戻っていることは強気の材料である。

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